お知らせ
2024/07/22
技術情報
Ciatec Information
2024年7月 No.142
■No.142 「砂防堰堤(ダム)設計での3次元モデル活用」
お取引先様 各位
シアテック設計実績のご案内
『砂防堰堤(ダム)設計での3次元モデル活用』
皆様におかれましては、ますますご発展のこととお喜び申し上げます。日頃は格別のご愛願を賜り、厚く御礼申し上げます。
今回は、土石流から人命・資産を守るための施設である砂防堰堤(ダム)の設計を行う中で取組みました3次元モデルの作成をご紹介致します。
本業務は、建設現場の生産性向上を目的とした国土交通省が推進するi-constructionの一環として、通常の設計に加え、BIM/CIM試行業務として実施したものです。
BIM/CIMとは、計画、調査、設計段階から3次元モデルを導入することにより、その後の施工、維持管理の各段階においても3次元モデルを連携・発展させて事業全体にわたる関係者間の情報共有を容易にし、一連の建設生産・管理システムの効率化・高度化を図る取り組みです。

今回は、つぎの3つの要求事項を満足するよう、表現方法を工夫した3次元モデルを作成しました。
- リスクに関するシミュレーション
(堰堤側面の山腹斜面への定着確認) - 対外説明
(関係者協議、住民説明、広報等) - 4Dモデル(3次元モデルに時間情報を付与したモデル)による施工計画等の確認
従来の2次元図面ではイメージしづらかった完成形や施工途中の状況を立体的に確認することが可能になり、関係者(地元住民や発注者)とのコミュニケーションの場面で有効であっただけでなく、設計品質の向上も図ることができました。
弊社は、砂防堰堤のみならず、道路、河川、地質など土木各分野において、BIM/CIMへの対応を進めております。利用場面に応じた3次元モデルの作成・活用により、誠意をもってお客様の想いを形にするお手伝いを行ってまいります。
【 補足資料 】
要求事項に対する工夫点
円を用いた山腹斜面への定着確認
堰堤は、地表面から一定の深度以上が土の中に埋め込まれている必要があります。それを視覚的にチェックできるよう、必要な埋め込み長に等しい半径の円を描き、この円よりも上側に地表面が存在することを確認する手法をとりました。

4Dモデルによる施工計画等の確認

施工ステップ毎にモデルを作成し、それを順次表示させることでアニメーションを作成しました。動画で建設されていく様子を見ながら、施工順序の確認が可能です。
モデルの作成
今回の3次元モデル(統合モデル)は、次のようなモデルを組み合せて作成します。利用目的に応じて、どの程度詳細なモデルを作るかを決定します。今回は、主構造の形状を正確に作成する「詳細度300」というレベルで作成しました。
地形モデル
今回は、現地測量で得た標高値から地表面を表現する地形モデル(サーフェスモデル)を作成しました。UAV(ドローン)によるレーザー測量で取得した点群データから作成することも可能です。

地質モデル

ボーリング結果から地層の推定境界面を作成します。目的の精度に応じた地質調査が必要です。
構造物モデル
構造物モデルを作成するためには、まず、従来通り2次元平面内に構造物の平面図・正面図・側面図を作成します。つぎに、金型から押出成形するのと同じような要領で、2次元図面から立体パーツを作成します。最後に、それらを組み合せて目的の3次元モデルを作成します。
作成された構造物モデルは、表面だけで構成されるモデルとは異なり、中身の詰まったモデルであるため体積を持っており、例えば使用材料の数量算出も可能です。

※PDFファイルが別ウインドウで開きます。
